場外

para la calle

大阪市立東洋陶磁美術館|リニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」

2年ぐらいずっと改修していた東洋陶磁美術館がようやくリニューアルオープンしたので行ってきた。
エントランスでチケットを購入すると、「ここの裏の階段から上のフロアにあがれ」みたいな案内を受けるのだが、その階段を通り越したところに普通にエレベーターがあるので足腰不安な人はエレベーターを使うが良いと思う。ロッカーは下にある。階段がリニューアルの目玉らしいが、踊り場もない、のぼるのが普通にしんどい螺旋階段なので、階段よりまずエレベーターとロッカーを案内してほしいところ(階段で上にあがってからロッカーはどこか聞いて、下だと言われたあとはじめてエレベーターあるよと案内された)。

目録は声をかけて貰う方式。1回「目録はありますか?」と声をかけて、それで貰えるのはなぜか折り畳みの大判豪華チラシ。これしかないんか?と思いもう1回「チラシではなくリストがほしいのですがそういうのはありませんか?」と声をかけてはじめて数十ページある*1出展目録が出てくるシステム。館内歩き回っている人のなかに、チラシを持っている人はいても目録を手にしている人がいなかった。2回声をかけないとクリアできないシステムはちょっと難易度が高い。
チケットは発券機でべゃーと出てくる、バーコードが印刷されたレシートレベルのただの紙である。前に来たときは当日券を買ってもグラシン紙みたいなものがついたような妙に凝ったチケットだったように思うけど(同時に渡されたリーフレットがそうだったかな?)、今はただの紙。申し出ればデザインチケットに交換してくれたのかもしれないが、階段のぼりおりでうんざりしていたのでもう聞かなかった。
客はシニアしかいない。ムッスュとマダムの遠足といった感じの団体客のまあ多いこと。意外とインバウンド需要とかはなさげ。
一応特別展と銘打っているもののほとんどはリニューアル前と同じ所蔵品の常設展示が10部屋ぐらいあって、とにかく量が多いので見ごたえはある。あと国宝の
油滴天目茶碗が出ている。ウェブサイトのQ&Aを見る限りでは常設展示ではないとのことだけど、わざわざスペースが用意されているので今後は常設に近い展示になるのかもしれない。以前見たときは薄暗い展示室に置いてあった気がするが、トップライトのあるかなり明るい部屋で見ることができる。同じく国宝の飛青磁花生も出展されているが、これは展示室内に他の青磁と同じように陳列されている。


(油滴天目茶碗の展示室。めちゃめちゃノーガードに見えるが一応画面外に係員が1人常駐している)

リニューアル前にもそんなに何度も行っていたわけではないのであんまりどこが変わったかはわからないのだが(エントランスが広く明るくなったのはわかる)、私がこの館でもっとも好きな、北向きの大きな窓のある休憩室が、今回見てみたら応接セット風の調度から1人掛けソファに変わっていて、改めて見てみると天井も低くてやや圧迫感があるなと思った。ムッスュが「わぁー。ここええやん」と声を上げていた。


(休憩室)


(休憩室と同じ窓のある階段室)

あと、この館で一番好きなのは鼻煙壺コレクションなのだが、その部屋はリニューアル前と多分なんも変わっていなかった。これはよかった。この鼻煙壺(かぎたばこ入れ)コレクションは沖正一郎さんというファミマの初代社長が2008年に同館に寄贈したものである。なんせ小さくてかわいい。小型の香水瓶みたいなサイズ感で、コレクションするにはいい感じの骨董である。


(鼻煙壺コレクション)

スタッフが妙に多いがその大勢のスタッフのほとんど全員がマスクしてなくて、美術品扱うんだから感染症以前の問題として美術館・博物館のスタッフはマスクしたらどうかなと思った。素手で触る展示でもこのご時世に消毒液とかべつに置いてない*2し、せっかく反射の少なめなわりとええ感じの展示のガラスについた皮脂汚れも妙に多くて目立ったので、なんか全体的に特殊な衛生観念をもってる館なのかもしれない。併設のカフェの店員さんはみんな普通にマスクしてるのでそちらの店をご利用の向きで気になる方は安心してください。



リニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」
https://www.moco.or.jp/exhibition/schedule/?e=596
2024年4月12日~9月29日 大阪市立東洋陶磁美術館
主催:大阪市立東洋陶磁美術館
共催:NHKエンタープライズ近畿
協賛:株式会社YAMAGIWA、コクヨマーケティング株式会社
後援:NHK大阪放送局
観覧料:一般1600円

*1:所蔵品が多いため

*2:美術品そのものの展示ではなく、VRムービー投影のためのセンサーをつけたレプリカ