場外

para la calle

サントリーサンバーズ戦観戦覚書


はじめに

プロ野球のシーズンオフに野球以外のスポーツを年1回見に行こうの会、2023-2024シーズンはバレーボールにした。

シーズンオフに野球以外を見に行くのは、なんかこう、野球観戦にフィードバックができるものがあればいいなあ、とか、もともと野球を見るまではスポーツにいっさい興味がなかったので、野球と同じく見たら見たでおもろいやん、となる可能性もあるかもしれない、とかいう考えによるものでもあり、あと単純にオフは時間があるからである。

野球以外を見るにあたってはいくつか決めていることがあって、

  1. できるだけプロまたはそれに準ずるチーム・選手の試合であること
  2. できれば大阪を拠点とするチーム・選手であること
  3. チーペストチケット(最安席)で見ること

などである。

チーペストチケット制は、以前報道ステーションのスポーツコーナーでやっていた、渡辺満里奈がナレーションを務めていた好企画「MLB30球場全部行く」で採用されていたルールを勝手に踏襲している。チケット販売窓口で「Cheapest ticket, please」というといちばん安い席のチケットを売ってくれる、というものである。
なんせ初心者が見に行くにあたっていちばん雰囲気がわかりやすいのは、フィールド等からもっとも遠くて全体が見渡せる座席であり、そういう座席はたいていチーペストだ。

▼「MLB30球場全部行く」。評判がよかったので後日単独でまとめられて2時間特番になった



チケット

大阪市を拠点とするスポーツチームの連合によるOSAKA SPORTS GROOVEというプロジェクトがあって、オリックス・バファローズやセレッソ大阪など8チームが参加している。招待券プレゼント企画がたまにあり、オリックスの招待券ほしさにメールマガジンを登録していたところ、Vリーグのサントリーサンバーズの招待券の案内が送られてきた。
このオフは大相撲を見に行こうかなと思っていたのだけど、先行抽選でチケットを買うと各種手数料で1000円近くかかってしまい、なんかそれはちょっと違うんだよな、という気持ちになっていたところだったので、ちょうどええと応募したところ無事当選した。
招待券だからチーペストも何も、という感じだけども、アリーナ2階自由席だというからまあチーペストチケット相当だろう。当日券で買うと大人2300円とのこと。

▼OSAKA SPORTS GROOVE公式サイト


バレーボールについて

ところでバレーボールはやるのも見るのも嫌いだ。多分テレビですらほとんど見たことがないんじゃないかな。だからルールもろくに知らないし、なんで嫌いかといったら、中高生のころに授業でやって何一つ楽しくなかったという思い出があることと、あと、1点入るたびにいちいち大仰にハグする感じが好かんたらしいとか、いわゆる「そーれ」ってやつがいや(これは近年選手からも明確に苦情が出ていて忌避されている、ということは知っている)とか、そういう些末な理由によるものである。「そーれ」がないにしても、のべつ打ち鳴らされるスティックバルーン応援とかもあんまり好きではなく、じゃあ、なんでバレー見に行ったのよ?って感じだけれど、結論からいえばバレーボール、めっちゃおもろかった。

感想

ルールまわり
  • 1セット25点先取の3セット先取制
  • コート上の選手は6人、ウォーミングアップを見て数えた感じでは控え選手を含めてベンチ入り人数は18人ぐらい
  • ひとりだけユニフォームの色が違う小柄な人がいる。多分リベロというやつ?バスケでいうところのポイントガードみたいな感じのポジション?
  • リベロはアタックもトスもサーブもしない。ブロックもかな
  • リベロの控え選手が少ない、多分1人しかいない
  • 一瞬リベロが0人になることがあった。ルール上は0人のときがあってもいいのかな?
  • サーブのとき、高々放り上げる人とそうでもない人がいて、野球でいうところのワインドアップとノーワインドアップみたいな違いがあるのかな、と思った。高々放り上げるのは力学的にはぶっちゃけ無駄だよ派とか、高々と上げるとダイナミズムが生まれるよ派とかあるのかな
  • サーブめちゃくちゃ失敗するやん、こんな失敗するもんなん?と最初は思ったのだけど、野球で考えてみればど真ん中にストレート投げつづけてたら負ける。打ち返されにくいサーブを入れる、ぎりぎりのところを攻めるのが攻撃なのだろう
  • だれがサーブするのかわからない。ずっと同じ人がするものでもないらしい。しばらく見てると遠目にも、高々放り上げる人とそうでもない人の区別がつくようになった。ローテーションするのかな
  • ボールデッドが多いのでメリハリが利いて見やすい。多分今まで見たスポーツのなかでいちばん見やすいんじゃないかな。プレーが途切れるときには必ずどちらかに点が入っているというのが、展開を把握しやすくてとてもいい。ゴール型とベースボール型しか見たことがないので、ネット型競技は新鮮
  • 審判が多い。ネットの両端に2人、四隅にラインを見る人(野球でいう線審)が1人ずつ
  • チャレンジシステムがある。NPB方式のように審判が直々にビデオ室に見に行くわけではないっぽい、いわゆるMLB方式
ルールと関係なさそうなところ
  • 点が入るたびにDJ的な人が、だれが得点したかを高らかにコールしたうえでスムーズに応援(野球でいう攻撃応援歌ではなく得点テーマ)に入れるよう流れるようにアナウンスしてくれるので、ルールがわからない人間にもどっちが点をとったのかなどがとてもわかりやすい。アメフトのように常時アナウンスしているのではなく、いわゆるボールデッドのときのみしゃべる。ビジターチームのファインプレーがあったらさりげなく褒め言葉が入るのも良い(「ナイスアタックでしたがヴォレアスがファインプレー」というような感じ)。野球はスタジアムDJやウグイス嬢といった場内アナウンス担当と実況アナウンス担当は別物だし、場内アナウンス担当が瞬時に実況できるかといったら多分そんなこともないので、ゲーム実況をかねてアナウンスで場内を盛り上げられるというのはとんでもない特殊技能だと思う、なんならボールデッド中にしゃべらないといけないぶん、試合中いちばん働いてる
  • 音楽は、インプレー中でもBGMがかかるバスケとは違ってボールデッドのときにしかかからない。ラリー中はスピーカーは無音
  • セット間ではなんというのかな、ゴリゴリのEDMの音源の一部とかが編集されてかかっている(詳しくないのでわからないけど、金子千尋が2015年に登場曲にしていたBIGBANGの「BANG BANG BANG」のイントロだけなど)
  • アタックで点が入ったとき、ブロックで点が入ったとき、サービスエースで点が入ったとき、それぞれの得点テーマがちがい、ファンの応援の動きもちがう。サンバーズは応援グッズとしてハリセン(1枚100円)を使っていて、アタックのときは叩く、ブロックのときは広げて煽る、サービスエースのときは回す、というような感じ。ブロックのときの動きがかわいい
  • タイムアウトのときのブザー音がばかでかい。これはバスケもそうだった
  • 思ったほど点が入るごとにねっとり円陣組んでハグするということはなく、軽くハイファイブ+肩をたたく程度。点をとられたほうもわりとほぼ同じような動きをしている
  • 「そーれ」もない
  • バスケのコート拭く担当の人はモップだった気がするけど、バレーは雑巾で手拭き。腰が死にそう
  • ボールデッドで適宜引き取った余分なボールを、コートの四隅でパイプ椅子に座ったボールパーソンが受け取って拭いている。なんとなく内職感があっておもしろい
  • 控え選手の一部はベンチではなくてボールパーソンよりもさらに遠いところに固まって座っている
  • 選手が遠いところに座っているのに、ベンチの後ろに普通に客席があり、ひそひそ声でも聞こえそうなぐらいのとんでもない至近距離で試合を見ている。野球でいうところのベンチ内ぐらいのところに客がいる。プロ野球もときどきベンチ内最後列の席とか一般発売してみたらどうだ
  • そんなところに席があるのに攻守でベンチが入れ替わるのがおもろすぎる。選手がベンチに座ったら真後ろに相手チームのファンが前のめりで座ってるということですか?
  • サーブによる始球式があった。セット間にも、サーブが決まればプレゼント、みたいな来場者参加企画があった。サーブ、使いでがいい
  • 試合終了後に選手が全員並んで写真撮影をしていた。多分今まで見た他のスポーツでは1試合ごとに写真を撮るものはなかった。試合数が結構少ないのかな?
  • 全身のバネの強さやしなやかさを感じさせる動きが多く、プレーがとにかくダイナミックで、もちろん野球とは全然ちがう動きなのでとても見応えがあった
試合展開について
  • 残念ながら3セットストレートで勝敗が決してしまったものの、最後のセットの25点目のラリーは、もう決まると思いきやギリギリのプレーがつづき、会場からも歓声があがり、盛り上がってて、とてもよかった
  • 3セットストレートで1時間半ぐらい、ということはもつれこんだら2時間半ぐらいある、ということかな?思えばネット型はベースボール型と同じく試合の長さが決まっていないのだな。3セットストレートで終わっちゃうのは野球でいうところの点差コールドみたいなもんで、試合時間が短くなると飲食の売上も伸びにくくなり、だからというわけでもないけどプロ野球には基本的に点差コールドはない。試合展開によって試合時間が大幅に左右されるのはデメリットのほうが多そうな気がした
会場について
  • アリーナの玄関から近いスタンドが当然混み合っていたので、こっちがいわゆるメインスタンドなのかなと思って、バックスタンド側のすいているブロックまで回って座ったのだけど、ベンチはこっちサイドにあるし、カメラもこっちサイドにあるし、天井から提げられてるチームや市のフラッグもこっち向いてるし、ハーフタイムのダンスもこっち向いてるし、ヒーローインタビューもこっち向きだった。謎。ラグビーやサッカーはベンチがあるサイドのスタンドのほうが混んでいた。バスケはどうだったかな…
  • カメラと同じ方向ではなく、テレビ中継だと見ない角度からも見てみたかったのだけど、両サイド(サッカーでいうゴール裏の上のほう)の2階スタンドは封鎖されていたのでそこには回れなかったのが残念。往年のオリックス戦の京セラ5階席みたいにでかいシートがかかっていた
  • 「座席で飲食可能です」という貼り紙があちこちにあったけど、あんまりがっつり飲食している人は見かけず、なかなか、1時間半ぐらいの試合では、おやつ買いに行こ~ともなりにくいな、と思った
  • ビールの売り子みたいなものはない(まず野球でしか見たことがないけど)
そのほか
  • 背の高いお客さんを結構見かけ、プレイヤー層とファン層がまあまあかぶっているのかなと思った(野球の場合は野球したことない野球ファンもいっぱいおる、私もそう)
  • 試合終了後、アリーナ玄関で、選手によるお見送りが行われている。アリーナから出る前、前を歩いている人が「あの人認知されてるから」「うそでしょ」みたいな話をしていたので、婚外子の話かと思っていたら選手に認識されているファンの話だったらしい。とはいえお見送り自体は、選手は柵の向こう側に並んでおり、「立ち止まらないでくださーい」と言われるので、手を振るぐらいしかできない



余談

サントリーのチームなので、LINEでサントリーサンバーズ公式アカウントとおともだちになるとプレミアムモルツ1杯プレゼント、というとんでもなくふとっぱらな企画が行われており、試合前、長蛇の列にならんで、最後なぜか二股に列がわかれるところで、左はビールサーバーから自分でそそぐ列、右は有人の売店というようにわかれていたので、LINEの操作方法がわからなかったこともあって右の有人のほうに並んだところ、売店のスタッフさんに「あっち(左)並びました?」と聞かれ、いや、あっちには並んでないですと伝えたら「並んでください」とすげなく追い返された。
じゃあここはなんの列やねん…と思いながらしょぼしょぼとビールサーバーの列の入り口まで行って、並んでいる人に「あっちで『こっちじゃないよ』っていわれたからここに並ばせてくれないか、どうやら私は列の分岐で並ぶところをまちがえたようです」などと交渉をしようとしたら、日本語はわからない人だったようで、私も「?」、列の人も「?」「?」となっていたところ、うしろからプレモル持った女性が私の肩をたたいて「ねえ!私!あなたの後ろに並んでたんやけど、なんでもらえんかったの?」と声をかけてくれ、「な、ならんでこいって言われた…」みたいなことをぼしょぼしょと答えたら、「あっちでももらえるよ!ほら!ここ!同意チェックして、ここ押して、これ!この画面見せたらもらえるから!」と、わざわざ教えてくださって、なんと優しい人がいるものか、ありがとうありがとうとお礼をいって再度有人売店に行って「さっきあっちに並べっていうたのは何やったんですか?」と画面を見せたら、まあたくさん人が並んでるから案内がちょっと雑だったかもしれん、すまんな、みたいなこといいながら注いでくれて、釈然とせんなあと思いつつ、でもタダでもらうものにケチはつけられまい、と黙って受け取った。プレモルは、とても、おいしかったです。
どんくさいやつがおるなと思ったのだろう、わざわざプレモル持って追いかけてきて教えてくださったお姉さん、本当にありがとうございました。
有人売店はプレゼントのプレモル以外にも普通に有料商品があって営業していたので、プレゼント列に並ばなくても売店までは行けるようになってて、だから「(プレモルプレゼントの)列に並んだか」ということを確認したかったのだろう。無料だから本当になんもいえないけど、シンプルに動線づくりのミスによる現場の混乱に巻き込まれただけだったのだと思う。
なお試合後には翠ジンソーダ缶(またはやさしい麦茶ペットボトル)が来場者全員に配られていて、タダで試合見てビール飲んでジンまでお土産にもらえるなんてなんと気前のよいことか、サントリーは早く野球チームを持って社会人野球日本選手権に出てくれ、と思った。



これまでの「プロ野球のシーズンオフに野球以外のスポーツを年1回見に行こうの会」

2018-2019 [ジャパンラグビートップチャレンジリーグ]花園近鉄ライナーズ-NTTドコモレッドハリケーンズ(東大阪市花園ラグビー場)
2019-2020 [Bリーグ]大阪エヴェッサ-サンロッカーズ渋谷(エディオンアリーナ)
2020-2021  休止
2021-2022  休止
2022-2023 [JFL(日本フットボールリーグ)]FC大阪-MIOびわこ滋賀(東大阪市花園ラグビー場)
2023-2024 [Vリーグ]サントリーサンバーズ-ヴォレアス北海道(Asueアリーナ)


▼全然見ずに行ったけど、ちゃんと初心者向けの観戦ガイドが整備されている