日本シリーズでまた甲子園に戻ってくるつもりだった。まさか甲子園開催分のチケットが1枚もとれないとは思わなかった。
抽選だけでも
- 阪神のファンクラブ先行
- ローチケ第1弾先行
- ローチケ先行
- ファミマ先行
- ぴあ先行
- ローチケリセール
の6口それぞれ全3試合計18口にブッコみ(*1)、一般発売では、先行抽選でいちおう2試合だけ確保できていた京セラ開催分の残りの2試合を捨てて甲子園開催分に全振りしたのに撃沈、見切り席一般発売も瞬殺、完売後も毎日毎日ひまを見つけてぴあのリセール画面を延々とリロードしつづけ、それでも1枚もとれなかった。
セ・リーグCSファイナルの最終戦となった10月20日のナイトゲームが自分にとっての今季甲子園最終戦になった。
なんと、今年はもう甲子園に行く予定がない。狼狽したまま、いつもの年は行かない阪神タイガースファン感謝デーの抽選にも申し込み、そして案の定落選し、日本シリーズは終了し、甲子園歴史館では日本一記念アクリルピンバッジを来場者にくれるという。
ピンバッジ、ほしい。ピンバッジのために甲子園に行くには甲子園はうちからは遠い。
なんか、行くしかないのか、たいした理由もないのに。秋季練習(*2)とか見に行くか?
ああ、甲子園、行きたいなあ。と思っていたら、ドラマをほとんど見ない私が第1話だけはゲストの鳥谷敬につられて見たTBSドラマ「下克上球児」が、「兵庫県西宮市の球場」でのエキストラを募集している。そう、私も第1話のあと「甲子園でロケすんのかな、エキストラとかどうなんのかな?」と思っていた。
あるやん。西宮市の球場。こんなん絶対甲子園やん。鳴尾浜か?いや甲子園やろ。鳴尾浜で高校野球やれへんやろ。
しかし甲子園球場はフィクションの撮影許可には渋い。高校野球を題材にしたドラマなんて山ほど作れそうなものだが、考えてみれば甲子園で撮影された実写の高校野球ものなんて思い浮かばない(*3)。高校演劇を基にした映画「アルプススタンドのはしの方」は、高野連を交えて3か月も交渉したのに結局甲子園での撮影許可が下りず平塚球場で撮影されたという。アルプススタンドは甲子園にしかないのに?なかなかご無体な話だ。
「下剋上球児」は、エキストラ募集要項を見るかぎり、撮影はたった半日。プレーまで含めて撮影できるとは思えない。前後の他県でのエキストラ募集の日程から察するに、エキストラを入れずにプレーは別途撮影して、エキストラは合成…ということができるロケスケジュールでもないように思われた。
となると、俳優は来ないかもしれないな。11月のド平日、夏服で高校野球の観客役エキストラ。俳優はいない可能性あり。
丸一日考えたあと応募した。多分試合シーンの撮影はない。それでも甲子園に行く理由がほしかった。さすがに試合もイベントも何もない球場にはるばる行くほどの野球バカではない。果たして当選メールはすぐ届き、それからすこしして、主演の鈴木亮平さんがエキストラへの参加をSNSで呼びかけた。予定の人数までまったく足りていないことが察せられた。
何人集めるんやろ。満員にはせえへんねやろな。画角におさまるところにまとめて座らされて、最初は外野、次は1アル、内野ベンチ上、3アル(*4)…と大移動させられるのではないだろうかと踏んだ。そうすると、もしかしたら、外野スタンドと内野スタンドを結ぶ、普段は通行禁止のあの通路、リリーフカーが出てくるあの通路を通らせてもらえるかもしれない!
はいはい、夏の野球観戦ね、半袖でなんか行くかいな、近畿圏の真夏は長袖を着てやな火傷するんやからねと開き直り、2年前の日本シリーズに行くときに買って1回着たあと一度も着ずにしまいこんでいた極暖ヒートテックのうえに、至ってオーソドックスな白い長袖シャツを着て、野球帽を手にして、11月15日の早朝、意気揚々と甲子園に向かった。
TBSテレビおよびTBSスパークルのボランティア・エキストラ応募規約(PDF)では「本ドラマの出演者その他の関係者又は撮影風景等の写真撮影、録画、録音行為」「本エキストラへの参加にあたって知り得た情報(略)を、当社の許諾を得ることなく、第三者に開示し、又は漏洩する行為(略)」は明確に禁止行為と定義されているので、出演者・関係者や撮影風景等の写真・動画はいっさい撮っていないし、撮影風景には関係なくても当日の球場内では1枚も写真も何も撮っていないし、撮影がどのように行われたかはいえない。
ただ、おおむね予想通りだったことと、プロ野球選手ばかり見慣れた目からしても鈴木亮平さんがおそろしく体格のよい人だったこと、そして日常生活ではちょっと耳にすることのないような、実によく通る声だったこと、それから黒木華さんもものすごくいい声かつ軽妙洒脱だったことだけは、エキストラに参加しなくてもわかることなので書き残しておく。
この記事のタイトルを「野球にまつわるエトセトラ」だと思った人はもう一度記事タイトルを見返してください。
(球場内では1枚も写真等は撮っていないが、これは解散後、ただの通行人として、球場外周から撮ったスコアボード上の旗。右端が、ドラマ内に登場する架空の学校「越山高校」の校旗)
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