場外

para la calle

ファーム観戦覚書


(2015年、花園)



野球を見だしたのが2014年8月で、その年はファーム(二軍)までは見に行けなかったけど、翌年の2015年からは毎年1回だけファーム戦を見に行っている。1回だけにするのは、ファームに通い出すともうキリがないと思ったからで、この年1の札をどこで切るか毎年悩ましい。見やすいのは春先やけど、そろそろ今年がラストかなみたいな選手がわかりはじめる秋にもう札が残っていないのも歯痒い。
観戦ルールは
①年1回だけ
②阪神-オリックスかオリックス-阪神を
③できるだけ球場被りなしで

見に行くこと。③は、オリックスが関西一円のファンを増やすために地方球場での開催を積極的におこなっているから出来ることで、せっかくだからいろんな球場で見てみたいなという欲をファーム観戦で満たしている。豊中ローズで見てみたいけどなかなか阪神戦がまわってこない。阪神は姫路や安芸でよく主催しているので、そろそろそのへん行かなあかんかな…と考えている。いまのところ一度も球場被りなしで来ている。神戸サブに間に合わず行けなかったのは残念だった。
阪神は近々大物(だいもつ)に移転するし、オリックス主催も実は京セラ開催という札を残してあるので、まだ何とかなるかな…。


2015年 花園バファローズスタジアム(東大阪市)

先発 - Bs前田-T横山
試合時間 - 2:38
観衆 - 2,008

試合詳細
出店していた地元のお店のピザがめちゃくちゃおいしかった。うしろの列に座っていた男子高校生に「おれもあれ食べようかな。前の人。ピザ」「おいしそう」とひそひそ話をされた。
近くの席に、黒瀬のファンと原口のファンがいて、私は2014年の途中から野球を見はじめたばかりだったからどっちの選手のこともろくに知らなかったけど、さすがファーム戦やなあ、と思った覚えがある。原口はこの年の年初の「熱血!タイガース党」で、俊介といっしょに自主トレしているのがレポートされていたけど、その時点で育成だったからほとんど映らなかった。原口がこの日試合に出ていたのはまったく印象に残ってなくて、記録を見返してみたら四番DHで4打数無安打、3三振してる。そら思い出されへんなと思う。
開場から結構時間がたってから入場したのにバックネット裏最前列がなぜかあいていて、やったぜと座っていたら通路を挟んだ隣の席にガタイのいいお兄さんがやってきて固定カメラで動画撮影をはじめた。タイガースのコーチジャケットみたいなのを着てるから球団スタッフだな、と思っていたら、主におじさん客が数人、ぽつぽつとスタンドをわざわざ降りてきてお兄さんに握手を求めている。横目でよくよくお兄さんの全身を検めたら、履いていた靴下に「30」という刺繍があった。


2016年 萩谷総合公園野球場(高槻市)

先発 - Bsミッシュ-T秋山
試合時間 - 3:00
入場者 - 2,009

試合詳細
駅から球場までバスしかないのにバスの時間を読み間違った結果、どうしても試合開始に間に合いそうにないので、試合開始から見ることをあきらめるか、年1のファーム観戦なんだから試合開始から見るかと悩んだ結果、タクシーで球場まで行ったら2400円ぐらい払う羽目になった。球場は山の中にある。山道をずんずんのぼっていくとき、まじかよ…という気持ちでいっぱいだった。
座席がほとんど埋まってしまっていたので、たまたまあいていた、少年野球チームと少年野球チームのはざまみたいな席に座るしかなく、とにかく地獄のように日差しが強くて暑かったので全身ミイラみたいに布を巻いて観戦せざるをえず、子供たちを怖がらせたのではないか気になっている。
高槻名物の高槻うどん餃子の出店が出ており、おいしかったのでおかわりした。
当時ブランコがファーム落ちしていて、ファームでブランコを見られるチャンス!と思ったものの、来ていたのかどうかわからないけど少なくとも試合には出ていなくてがっかりした。前日昼に支配下登録されて新しい番号をもらったばかりの園部が出ていて、園部のその新しい背番号のユニフォームを着たファンがいた。半日で用意したのか、ファンってすごいなと思った。
フォアボールで出塁した上本が、バットボーイが来るのが遅かったので打席付近にバットを普通にトンと立てて出塁したのが印象強い。


2017年 佐藤薬品スタジアム(奈良県橿原市)

先発 - Bs吉田凌-T榎田
試合時間 - 3:06
入場者 - 2,559

試合詳細
内野スタンドに屋根がついた大きくて立派な球場で、見やすくてとてもよかった。大阪からはまあまあ遠かった。1時間近く電車に乗った。ほのぼのとうららかな春の日差しのなかで静かな試合を見ていると、うしろの席に座っていた小さな男の子が、なんといわれて連れてこられたのかはわからないが、何かしら違和感を覚えたらしく、試合途中で、
「おとうさん、これプロやきゅう?」
と聞き、お父さんが迷いなく「せやで」と答えていたのがとても印象に残っている。回の頭から二人ランナーを出した山田に対して無死一、二塁で今成に出たサインはバントで、バントファウルで追い込まれてヒッティングに変わったあとスリーラン打ってダイヤモンドをまわってくる今成が、全然嬉しくなさそうな、硬い表情だったのが思い出深い。試合展開がどうだったか確認するために
オリックスのサイトの試合詳細を見たけど、当時ルーキーでまだ一軍出場のなかった大山が盗塁している。全然記憶にない。
ぼーっと見ていたら出店の食べ物がほとんど売り切れてしまい、苦し紛れにクレープを買っていたら、近くにいてくっちゃべっていた比嘉のユニフォームの女性が、球場外に響く「Stay Gold」を聞いてダッシュで場内に戻っていった。買ったクレープを席に持ち帰って食べようとしたら、慣れていないのでめちゃくちゃ食べづらく、顔と手をべとべとにして奮闘しているのをみかねた隣の席のマダムがウェットティッシュをくれた。
試合後、外野の芝生席を見に行き、フェンス越しにぼーっとグラウンドを見ていたら、バファローブルがウォーニングゾーンをライトからレフトへえっちらおっちら歩いてやってきて、芝生にいる家族連れにフェンス越しに手を振るなどして愛想をし、そして私の前をノーアクションで通りすぎたので、「ファンサはファミリーだけか…」とぼんやり見送っていたら5歩ほどすぎたところからノールックのバックステップで軽快に戻ってきて私の顔を覗きこみ、「びっくりした?むしされたとおもった?」みたいなそぶりをしたので、プロはすげえと思った。


2018年 阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)

先発 - T谷川-Bs山﨑颯
試合時間 - 3:00
入場者 - 3,006

試合詳細
当時の甲子園のファーム戦は1000円で内野のどの席でも座れた(アルプスと外野は非開放)。グリーンシートから見る初夏の青空は最高に気分がよかった。全体的にしょっぱい試合展開で、とにかく、はじめて見た山﨑颯(この年ルーキーだった)がギリシャ彫刻みたいな体格をしていて感嘆したことぐらいしか記憶にない。このときファーム落ちしていたロサリオを見たかったのだが出ていなかった。試合終盤、スコアボードの向こう側の浜の空に雲が出はじめると、うしろの席の幼児が雲を指して「あれな、あのくもな、あまぐもになんねん。だからな、どしゃぶりになんねん」と予言しだしたので、そいつはいただけねえな、と思い試合終了を待たずに球場を出たらほんとうに駅でどしゃ降りになった。甲子園の駅からどしゃ降りの球場を見て、まじか…と思った。


2019年 大阪シティ信用金庫スタジアム(大阪市)

先発 - B竹安-T望月
試合時間 - 3:10
入場者 - 1,148

試合詳細
舞洲は交通の便がものすごく悪いのでできるだけ行きたくないなと思っていたものの、ずっと避けては通れまいと、舞洲サブじゃなくシティ信金スタでやるというのでまずそちらから行った。なんにしろ遠かった。アクセスが悪すぎる。桜島からバスに乗って行ったのだけど、ゆめ咲線というのはUSJに行く客のための路線みたいなもので、みんな終点桜島のひと駅手前のユニバーサルシティ駅で降りていって、陰気な顔の野球ファンだけが車内に残されて終点まで揺られていく。
17時開始のトワイライトゲームで、バックネット裏のわりと高めの位置の座席に座るとバックスクリーンの向こうに薄暮がとてもきれいに見えた。ジェイコムだかケーブルテレビだかの収録に来ていた代走みつくにがそのままスタンドで観戦していた。オリックスがファーム戦やほっと神戸の試合で呼んでるたこ焼きのキッチンカーが来ていて、そこのたこ焼きの明太マヨ味がめちゃくちゃおいしいので、この日は2皿食べた。
近くの席に70歳前後のおじさんが4人ほど、ずっと南海ホークスの話やら、過去にオリックスにいてほぼ一軍に上がれないまま引退した投手が「スライダーのときだけ『ふんっ』って声出しよる」こととか、古い話や与太話をしていて、舞洲みたいなほとんど人の住んでない辺境で、ご近所さん同士というわけでもあるまいし、なんやろこの人らは…と思っていたら、そのうちの一人が、サード頓宮がデカい声で「ガリガリ!」って言ったのにサードフライを落球したときに「ガリガリガリ事件や」とぼそっと呟いたのが一番印象に残っている。あと「インフィールドフライちゃうんか!」とも言っていたけど全然インフィールドフライ成立条件を満たしてなかったので、南海ホークスから野球見ててもそのぐらいの理解度でええんやな、と思った。
試合終了が20時をすぎたので、帰りのバスの時間に間に合うかひやひやした。シティ信金スタのコンコースの壁にはタクシー会社の連絡先が貼りだしてある。


2020年 オセアンバファローズスタジアム舞洲(大阪市)

先発 - B増井-T横山
試合時間 - 3:22
入場者 - 223

試合詳細
この年は鳴尾浜はずっと無観客だったし、オリックスファームももしかしたら最後まで無観客でいくかもしれないなと思っていたけれど、オリックスは7月から100人以下に絞って、10月からもうすこし入場人数を増やして開催していたので行くことができた。山崎勝がこの年ラストイヤーになることは2018年オフに2年契約をしたときから覚悟していたので、もし一軍で引退試合をしてもらえるならいいけどそれぐらいしか見に行けないな、と思っていたから、まだ何も発表もされていないときだったけど見に行けてよかったし、この前後のころはもうファームでもあまり出場機会がなかったのに試合途中から出てくれて、結果的に現役最後になった盗塁刺をバックネット裏ど真ん中最前列の席から見られたことが、本当にいい思い出になった。捕手の肩越しに見るどんぴしゃ二塁送球、おそろしく美しいものである。
飲食売店が機能しているか不安だったので途中の駅のサブウェイでサンドウィッチを買っていったが、野球観戦しながら食うには向いてない。10月なので長袖を着ていて、ちょっと袖をまくっていたら七分袖を着ていたみたいに日焼けして、年越し頃までずっとそのままだった。舞洲の日差しはきつい。


2021年 ほっともっとフィールド神戸(兵庫県神戸市)

先発 - B東-T髙橋
試合時間 - 3:04
入場者 - 2,829

試合詳細
この年もまあまあ入場制限とかどうなるか読めなかったもので、いつ頃見に行こうかというのは結構悩ましくて、確かこの前日あたりの試合を見に行こうとしていたら雨天中止、じゃあ明日の…と思ったらもう前売券が買えなくて、しょんぼりしながらはるばる出かけていって当日券を買ったらものすごい前方席だったのでめちゃくちゃ興奮した。バックネット裏真ん中ブロックの前から4列目ぐらい?の端席。周りは普通に前売券で来ていた人で、関係者席が浮いたとも思えない。ほっともっとは外野から見るのが好きで、あまり内野には行かないので、内野の飲食売店で食べた塩焼きそばがめちゃくちゃうまくて、これ、外野でも売ってくれよ!と思った。おかわりしようかと思ったけど、焼きそばやしさすがに食べすぎかと思ってやめた。
マルテが当時ファーム落ちしていて、1回表に東から、打った瞬間それとわかるホームランを打ってしまい、正直焼きそば食ってて見てなかったので「あぁ~」と思いながら打球を見送った。確か山岡が復帰戦で、9回表に出てきて、リリーフ山岡というのもめずらしいしファンも盛り上がってるなか、バリバリ打ち込まれて、試合が伸びる…と思いながら見ていた。8月中旬なのに山あいはすずしく、むしろなんとなく「あたたかい」という気候だったのが印象的。


2022年 くら寿司スタジアム堺(堺市)

先発 - B椋木-T秋山
試合時間 - 2:43
入場者 - 1,995

試合詳細
駅からバス。バス停に、もう今ここの駅で降りたやつ全員野球見に行くやろ?ぐらいの感じで迷いなく客を捌いてるスタッフのおじさんがいてなんか笑ってしまった。駅からわりと距離ある。バス圏に住んだことがないので、バスに乗らないと行けないところって何なんぐらいに思う。球場の外は広場になってて、バーベキューできる場所があってめちゃくちゃ客入ってたけどバーベキュー客は自家用車で来るんやろな。バスに乗って野球見に行くのは陰キャだけ。わざわざ入場券をWEBから予約して行ったのに、予約してようが当日券と同じ値段で、しかも当日券窓口のほうが進みが早くて遥かにスムーズに買えてて、「じゃあWEB予約って何なんすかね」って言いながら買った。またたこ焼きを食べた。たこ焼き買うのに時間がかかったので30分ぐらいは外周で音だけ聞いてた。特におもしろくもない普通の試合だった。球場は大きくて見やすくて綺麗だった。椅子がものすごく頑丈。


2023年 阪神鳴尾浜球場(兵庫県西宮市)

先発 - T桐敷-Bコットン
試合時間 - 3:51
入場者 - 479

試合詳細
阪神のファームの移転の前に一度ぐらいは鳴尾浜に行かねばなるまいと、鳴尾浜が有観客になるというニュースが出てすぐにいつ頃行くか考えてド平日に休みを取って行った。入場整理券が朝9時から500枚配られるというので、行って入られへんかったら凹むな…と思ってドキドキしながら行って、番号的には余裕あったけどあいてる席が少なくて、ギリ座れたけど後から2人以上で来た人は座れんかったんじゃないかな。鳴尾浜で試合を見たことはなかったけど何度か来たことはあり、飲料の自販機があるだけで飲食売店がないことはわかっていたので、ご飯は甲子園の駅の構内にあるおにぎり屋さんのONIGIRI ICHIGOで買っていった。ここのおにぎりは米がギッチリしてていい。
試合は、多分今年がラストだろうなと思っていた二保が登板してくれて嬉しかったものの、シーズンワースト1/3回6失点というTHE・つるべ打ちで敗戦投手になり、あんた、今日に限ってさあ、と、思った。持ってってた二保のタオル出せなかった。6月ながらめちゃくちゃ暑く、何度も手洗いに行って手ぬぐいを濡らして絞って首に掛けて耐えた。手ぬぐいじゃなく、二保が投げる前からタオルを首に掛けておくべきだった。長い試合だった。